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『タイトル未定』

第2話
 
どれほどこの時を待っていたか...
前回の大戦で敗北し主人を亡き者にされ、居場所を奪われた。
地上に我らの居場所はなく地下深くに結界を張り巡らせ、主人無き居城を構え、新たな主人が目覚めるのを信じ戦力を蓄えてきた。

「結界が消えた事で発見する事ができました。確かにあのお方で間違いありません。」

報告など聞かなくともわかる。
一瞬だったがあのお方と同じ魔力を感じた。
覚醒にはまだ時間がかかりそうだが.早めに行動した方がいいだろうな。

「私はあのお方のお迎えに行く。戦力を集結させておけ。」

人間共に今度こそ絶望を与えてやる。




隣国に向かって歩きながら僕は考えていた。
師匠の言っていた伝承、勇者と対になる存在、突然心の奥深くから響いた声、兵士達を簡単に殺し、転移までしてしまう力。
いくら考えても辿り着く答えは変わらなかった。

「魔王の力...か」

人を簡単に肉塊にする力を素直に喜べる訳がない。
むしろ忌むべき物だと自分でも思う。
当然だ。知らなかったとはいえ、この力のせいで師匠が死んでしまったも同然なのだから。
無知は罪だ。帝国が自分を追っている事くらいしか状況がわからない事に怒りすら覚える。
この状況を変える為にも今は師匠の妹に早く会わないといけない。
そしてできる限り自分の知らない情報を教えてもらおう。
今はそうする事しか出来ないのだから。
僕は辺りに注意しつつも足早に隣国へと歩を進めて行った。





担当:イシマル


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